聴導犬ってこんな仕事するよ 大熊町で保護された「ふく」が実演

前脚で胸をたたき、目覚まし時計が鳴ったことを知らせるふく
前脚で胸をたたき、目覚まし時計が鳴ったことを知らせるふく

 2011年秋に福島県大熊町で保護された雄の雑種犬が「聴導犬」のPR犬として活躍を続けている。名前は「ふく」。福島生まれで、幸福になってほしいと名付けられた。人懐っこい性格を生かして、学校やイベント会場で聴導犬の仕事をアピールしている。

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 3月、東京都渋谷区のヤマザキ動物専門学校で、ふくが学生たちに聴導犬の仕事を実演した。

 「ジリリリリリ」。目覚まし時計が鳴ると、ベッド脇からむくっと起き上がり、寝ている男子学生の胸に前脚を当て、どんどんとたたいて起こした。

 聴導犬は耳の不自由な人たちと一緒に暮らし、耳代わりとなる犬だ。目覚まし時計の他に玄関のベル、火災報知機、クラクションなど10種類ほどの音を聞き分け、前脚や鼻で触れたり、伏せたりして知らせる。

 ただ、目の不自由な人を助ける盲導犬に比べると知名度は低い。厚生労働省によると、盲導犬は全国に約940頭いるが、聴導犬は約70頭しかいない。

 ふくは東日本大震災後、避難地域に取り残された犬や猫たちを救助する活動をしていた団体に保護された。生まれて間もない頃で、体は小さく、背丈ほどの高さの草むらの中に、母親やきょうだいと思われる犬と一緒にいたという。

 ふくを引き取ったのが、神奈川県鎌倉市のNPO法人「聴導犬育成の会」の松田治子(はるこ)さん(71)。

 新たな聴導犬を探していた松田さんは12年3月、同県内の保護施設でふくと出会った。見知らぬ人を前に他の犬たちがほえ続ける中、しっぽを振って近づき、鈴やキーホルダーの音に興味を示した。好奇心が強く、人懐っこいところに素質を感じた。

 最初の半年で「待て」「お座り」を練習。その後、呼び鈴やクラクションなどを、どうやって利用者に知らせるかを訓練した。簡単な手話も覚えた。

 17年に実際の家庭で聴導犬として活動。翌18年からは、学校の出前授業やイベントでPRの役割を担うようになった。今は年に20回ほど出演している。

 現在ふくは7歳。人間では「もう立派なおじさん」(松田さん)だ。動物専門学校でも、数十人の学生を前に落ち着きを無くした後輩犬とは対照的に堂々と実演した。ただ、ふだんの生活では、他の犬たちと追いかけっこすることは減った。

 これまで、ふくは大熊町出身の人と触れ合うことはほとんどなかった。だが、町全域に出された避難指示は4月10日、一部地域で解除され、新しい役場庁舎での業務も始まる。

 松田さんは「今年はふくをつれて大熊町に行き、大活躍していますよ、と伝えたい」と話している。

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